目次
- Claris FileMaker とは何か?
- FileMaker: データベースの基礎から高度な使い方まで
- FileMaker をさらに深く知るための次のステップ
1. Claris FileMaker とは何か?
Claris FileMaker(以下、FileMaker)は、リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)の 1 つで、クロスプラットフォームのアプリケーション開発をサポートするソフトウェアです。ユーザはデータベースの作成やデータの追加・編集・管理だけでなく、自分でカスタマイズしてアプリケーションを開発することもできます。また、FileMaker で作成したアプリケーションを「カスタム App」と呼びます。
2. FileMaker: データベースの基礎から高度な使い方まで
1985 年に生まれた FileMaker は、もともとメインフレームのエンジニアが開発した Mac 専用のデータベースソフトとして始まりました。当時これを扱うユーザは、医学研究を行う医師、教員、研究者、エンジニア、弁護士、会計士など限られた人たちでしたが、その後 PC が登場し、 一般の Windows OS の利用者にも広がりました。近年は iPhone や iPad が普及し、ビジネスでのモバイル活用が増え、各企業でもカスタムApp を導入するようになりました。現在は世界 で 100 万、日本でも 20 万以上の組織で FileMaker が利用されています。
IDE(統合開発環境)、RAD(高速開発ツール)、ローコード開発プラットフォームとして評価が高い FileMaker ですが、そのレイヤーは 3 層に分かれています。
(1)データベース層/データアクセス層
FileMaker はデータ管理ソフトウェアの 1 つであり、ビジネスや個人のデータ管理を容易に保存するために開発されました。PostgreSQL、Oracle、Microsoft SQL Server などと同様に RDBMS(リレーショナル データベース管理システム)となります。特に、FileMaker の場合、下記の 3 点では大きなアドバンテージがあります。
・迅速なデータベース作成:
直感的なインターフェースにより、テーブル、フィールド、リレーションシップの作成が容易で、短時間でデータベースを構築できます。
・柔軟なデータモデリング:
データベース層では、複数のテーブルを関連付けることが容易であり、複雑なデータ構造を簡単に管理できます。これにより、データの整合性や関連性を保ちながら情報を格納できます。
・多様なデータソースへのアクセス:
外部のデータソースに対するシームレスなアクセスを提供し、ODBC/JDBC や REST API などの標準的なプロトコルを使用して他のデータベースと連携できます。cURL を使用することで、FileMaker は HTTP や FTPを通じて外部のデータを取得したり、データを送信したりすることが可能です。cURL は暗号化されたプロトコル(HTTPS など)をサポートしており、セキュアな通信を実現します。FileMaker は cURL を使って、データの暗号化された送受信やセキュアな通信を行うことができます。また、 XML、JSON 形式をサポートし、外部 API との間でデータを送受信する際に有用です。さらに、FileMaker Pro 16 以降では JSON データを解析して取り込み、FileMaker に格納できますので、JSONデータを加工して必要な情報を抽出し、表示や処理に活用することができます。
(2)ビジネスロジック層
FileMaker は、ビジネスロジックの開発をサポートし、柔軟性と自動化を提供します。
FileMaker では、独自のスクリプト機能を使用して、データ処理を自動化するビジネスロジックをローコードで設定できます。スクリプトを活用することで各種トリガイベント(ボタンクリック、画面遷移、データ編集など)の発生時に、特定のアクションや手順を自動的に実行することができます。また、スクリプト作成画面では Windows、macOS、iOS、iPadOS、Web ブラウザ、サーバーサイドなど、ユーザ環境ごとに利用できるスクリプトステップがわかりやすく明示されており、開発時にプラットフォームに合わせたスクリプトの選択が容易です。
例えば、“iPhone のカメラを制御して撮影し、 特定のフィールドに格納する”には、たった 1 行のスクリプト([デバイスから挿入] スクリプトステップ)で実現が可能になります。
他にも、QR コードを読み込み、読み取ったデータをフィールドに格納したり、iBeacon や NFC タグ読み取りなど 日本語スクリプトで直感的にコードを書き、処理を自動化することができます。
・ワークフローの管理:
ビジネスロジック層では、ユーザ間でのタスクの流れやワークフローが管理しやすくなり、業務プロセスの効率化やタスクの自動化が可能になります。例えば、スクリプトとスケジュールを使って特定の値を監視し、検出したトリガ条件に見合ったフローを自動的に選択してアクションをとる、ということができます。通常は、社内の承認フローなどに用いたり、顧客からのメール対応や注文処理の自動化などに使われたりしていますが、高度なアプリケーション開発もできます。例えば都立広尾病院では、院内迅速対応システム(Rapid Response System:RRS)支援機能として利用され、院内の DX 化を担っています。
(3)プレゼンテーション層
FileMaker は、見読性に優れ、データの視覚化と使いやすい UI(ユーザーインターフェース)を提供します。
・レイアウトの作成:
豊富なレイアウトツールがあり、フォーム、リスト、表形式、モバイルデバイス、印刷用帳票などの多彩な書式を簡単に作成できます。それぞれの職種に必要なデータを効果的に表示させ、専門性の高いユーザの現場の気付きを UI に反映できます。業務内容に沿ったレイアウトを作成できるので、情報を直感的に入力・把握できるようになります。
・カスタム UI/UX:
プレゼンテーション層では、カスタム UI や UX(ユーザーエクスペリエンス)を実装するための柔軟性があります。ユーザにとって使いやすいインターフェースをデザインし、データを効果的に可視化できます。例えば、入力フォームに事前にしきい値を設定し、数値が入力されると条件付き書式で色を変えるということができます。そしてその設定は、わざわざシステム開発者に依頼しなくても、現場のユーザ自身の手で容易に変更できます。iPad の場合は、縦横を変えることによる画面の切り替え、NFC タグを活用した在庫検索などができます。他にも、美術館などでは iBeacon を利用して閲覧者がエリアに近づいたら自動的にレイアウトを変更し美術品や展示物の説明を自動表示させるといった使い方をしているところもあります。これらのような高度な UX を実装することができます。
3. FileMaker をさらに深く知るための次のステップ
- FileMaker を早速使ってみる→ 45 日間の無料評価版
- FileMaker を動画で体系的に学ぶ→動画で学ぶ Claris FileMaker
- FileMaker の “あれ” を YouTube で知る → FileMaker の自習室
- FileMaker を使ってiPad アプリ開発を実際に体験する(無料)→Claris FileMaker 体験セミナー
- FileMaker をしっかり学ぶためのトレーニングに参加する(有償)→FileMaker トレーニング
- FileMaker をコンサルタントと一緒に開発する → トレーニングパートナーを探す
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