ローコード

Claris FileMaker でノーコード・ローコード開発

ノーコード、ローコードとは、プログラム開発言語を使ったコーディングを全く、あるいはほとんどすること無くアプリケーションの開発を行うことを指します。本ブログではノーコード・ローコード製品として長い歴史を持つ Claris FileMaker についてご紹介します。

ノーコード・ローコードについておさらいしたい方はこちらもご覧ください。

パワフル、でもノーコード・ローコード

FileMaker は 35 年前、「カード型データベース」として産声を上げました。
「カード型データベース」という言葉を聞いてしまうと、大したことできないんじゃないの?と思われるかも知れませんが、そんなことはありません!

FileMaker Pro の技術上な限界値ではファイルサイズは最大 8TB、レコード数は 6 京 4,000 兆!
例えば、最新の MacBook Air(M1、2020) のストレージは最大 2TB。約 46 億年前に地球が誕生してからの秒数はだいたい 14.5 京秒ということで途方もない数字だということがわかります。流石にこのサイズのファイルを見たことはありませんが・・・。
FileMaker データベースのレコード数(管理されているデータ件数)としては、ワールドワイドの記録として 8 億レコード、日本では 3 億 5 千万レコードでの運用実績があります。おそらくノーコード・ローコード開発ツールとしてはトップクラスの数ではないでしょうか。

他にも FileMaker Pro の仕様に興味を持たれた方はこちらをご覧ください。
https://support.claris.com/s/answerview?language=ja&anum=000034878

さらに、利用規模としても数名での小規模な利用から、数千名規模での利用など非常に幅広い用途、シーンでご利用いただいています。

こんなパワフルな FileMaker ですが、アプリケーションの開発はノーコード・ローコードで可能なので、結構簡単に作れたりします。

画面(UI)を作る

アプリケーションを操作する時にユーザが最初に触れるのがユーザインターフェイス(UI)、つまり画面になります。普段何気なく生活している中にも UI というのはたくさんありますね。例えば家電の操作パネルやカーナビゲーション、切符の券売機、会社の業務システム、スマートフォンの App など多岐に渡ります。

どのような UI が「使いやすい」かは用途や利用者、さらには利用環境などに大きな違いが出てきます。
例えば

  • 子供向けの App ではひらがな中心にする
  • 小さな画面や、高齢者向けのものは文字を大きくする
  • 外国人の方が利用するものは日本語以外の言語での表示も対応する
  • など、配色やデザインといった見た目以外にも考慮しなければいけない事が多くあります。

特に iPhone や iPad などの利用を考えた場合、パソコンと違い小さな画面を指で操作することが前提のため考慮しなければいけない点があります。Apple では「ユーザインターフェイスのデザインのヒント」というページにまとめていますので一度ご覧いただいてはいかがでしょうか。
https://developer.apple.com/jp/design/tips/

この様に、UI というのは「使いやすく」することが大事ですが、「使いやすい」UI というのは場面によって様々です。従って、アプリケーション開発ツールとしては、いかに簡単で自由度の高い画面デザインが行えるか、という点が大きなポイントとなります。

FileMaker の場合、画面作成はドラッグ&ドロップ操作が基本。非常に直感的にイメージしている画面を作成できます。

画面デザイン

画面を構成するパーツにはフィールド、ボタン、ポップオーバーボタン、ボタンバー、タブコントロール、スライドコントロール、ポータル、フィールド、グラフ、Web ビューアがあります。

レイアウトツール

これらをドラッグ&ドロップするだけで画面上に配置できます。
ボタン、ボタンバーには文字以外にもアイコンをセットする事ができます。デフォルトで 150 種類近いアイコンが入っていますが、これ以外に SVG 形式、PNG 形式で作成したファイルを入れる事でよりわかりやすい画面を作る事ができます。

ボタンを設定

FileMaker で画面を作る図形ツールは多くありません。直線、長方形、角丸長方形、楕円の5つとなります。
これだけではリッチなインターフェイスを作ることは難しいので画像( JPEG 、PNG など)を置くこともできます。図形ツールを組み合わせることで以下のような帳票も簡単に作ることができます。例えば、自社独自のフォーマットであっても、そのまま FileMaker 上で作成し、印刷したり PDF 出力する事もできます。

帳票

さらに、FileMaker ではデータの書式の扱いも簡単です。
例えば、以下のような書式です。

  • 小数・・・・0.1、-8.012、▲9.35
  • 通貨・・・・¥1,000、$125
  • 指数表記・・7.50E+1、1.2E-2
  • 日付・・・・2020/01/01、令和2年4月1日水曜日、第4四半期
  • 時刻・・・・12:15:26、4時32分07秒 午後

これらの設定は全てノーコードで設定ができます。特に日付は 2000 年問題や和暦への対応など、頭を悩ましてきた課題がありました。FileMaker の内部には和暦の情報も入っていますので簡単な操作で表記を西暦から和暦に変更ができます。また、和暦から西暦変換にも対応しているため、「r2/10/3」と入力して「2020/10/3」と表示させることもできます。

和暦へ変換

画面作成の自由度が高いのも特長の一つです。

写真や画像を使うことでキレイなインターフェイスが作れます

ロジック(スクリプト、関数)を作る

FileMaker では実行できる処理があらかじめ部品化されているので、ユーザは複雑なプログラムを書くことなく自動化処理を作成できます。

“"スクリプトは英語で「台本・脚本」を意味します。「スクリプトステップ」と呼ばれる個々の処理を組み合わせて台本のように自動的に実行する処理を作成します。スクリプトステップは全部で 180 種類以上用意されており、日本語で表記されていますので、初めての方でも見やすいものとなります。このほか、If や Loop、サブスクリプトなども組み合わせてスクリプトを作成できます。作成したスクリプトは主にボタンに割り当てる事でカスタム App に組み込むことができます。

スクリプトは、ボタン以外にも様々なタイミングで実行させることができます。例えば「レコードが変更された時」、「レコードが保存された時」、「レイアウトが切り替わった時」など、25 種類のきっかけ(イベント)が「スクリプトトリガ」として用意されているので必要な時に必要な処理を実行させることができます。

その他、FileMaker では各種計算に利用できる関数が 18 分類、320 種類以上、デフォルトで用意されています。

  • テキスト関数 
  • 書式設定関数
  • 数字関数
  • 日付関数
  • 時刻関数
  • タイムスタンプ関数
  • オブジェクト関数
  • 日本語関数
  • JSON 関数
  • 統計関数
  • 繰り返し関数
  • 財務関数
  • 三角関数
  • 論理関数
  • その他の関数
  • 取得関数
  • デザイン関数
  • モバイル関数

合計、平均、四捨五入などはもちろんのこと、ひらがな、カタカナ、漢数字など日本語に特化した関数や iPhone、iPad などのモバイルデバイスのセンサーや GPS などを利用できる関数もあります。もしも実行したい計算にマッチする関数がない場合は、独自のカスタム関数を作成することもできます。

いかがでしょうか?カスタム App の画面や機能など、手軽に、かつ自由自在に作成できることがおわかりいただけたでしょうか?


共有する

カスタムAppの共有

カスタム App を業務で利用するとなると、開発だけでは話は終わりません。共有することが必要です。一般的な業務システムでは、この運用でも様々な IT スキルが要求されます。これに対し、利用者の IT 習熟度やネットワーク環境なども様々であるため、ニーズも千差万別ではないでしょうか。

  • サーバーなんて触ったことがないので、「できるだけ簡単に運用したい」
  • サーバーに詳しい担当者がいるので「自由に色々なことをしたい」
  • 会社がセキュリティに厳しく、「クローズネットワークの環境しか使えない」

このようなニーズに対応するため、FileMaker では、作成したシステムを運用(カスタム App の利用およびサーバーの運用管理)するにあたり、多種多様な選択肢が用意されています。

「できるだけ簡単に運用したい」
共有するためのサーバーを自社で管理するのはちょっと大変という方には FileMaker Cloud がオススメです。ClarisID によるシングルサインオン、SSL 証明書による暗号化、自動バックアップ、24 時間 365 日体制の監視も含まれていますので手軽に始めることができます。興味がある方はぜひ一度お試しください。
FileMaker Cloud 評価版のお申込み:https://content.claris.com/jp_fmcloud2_waiting_list

「自由に色々なことをしたい」
データを共有する FileMaker Server は macOS、Windows Server、Linux の環境を用意することでクラウドサーバー、レンタルサーバー、オンプレミスなどあらゆる環境で利用できます。

「クローズネットワークの環境しか使えない」
ノーコード・ローコード開発ツールの多くは SaaS(Software as a Service)や PaaS(Platform as a Service) で提供されています。インストールが必要なくすぐに始められるところには多くのメリットがあります。しかし、会社で自由にインターネット接続ができる、という環境の方ばかりとは限りません。
FileMaker は今のところ開発に関しては FileMaker Pro をインストールする必要があります。その代わり、オフラインやクローズドなネットワーク環境でも利用することができます。

さらにクライアントからサーバーへのアクセスも Windows / macOS 用クライアントアプリケーションである FileMaker Pro を利用して PC からアクセスできるのはもちろん、FileMaker Go を利用すれば iOS デバイスからも利用が可能です。そのほか、FileMaker WebDirect を利用すれば、Web ブラウザからカスタム App を利用できるため、クライアントアプリケーションのインストールの必要がありません。HTML や CSS の知識も不要で自動変換してくれます。

開発/共有/利用のための環境

これらの環境は FileMaker ボリュームライセンスで契約をすれば全て利用可能です。
詳細な動作環境はこちらからご確認ください。
Claris FileMaker 19 動作環境:
https://support.claris.com/s/answerview?anum=000034947&language=ja

FileMaker を使いこなすために

ノーコード・ローコード開発ツールが注目を集めているのは、現場のことを理解した方が自ら作成し、状況に応じて素早くかつ柔軟に改修できるという大きなメリットがあるためです。しかしながら、どのノーコード・ローコード開発ツールを選んだとしても機能や操作を知るには少なからず「学習する」という作業が必要となります。FileMaker に関しても、変化の激しい IT 業界において単体のソフトウェアとしては異例の 35 年という長い歴史の中で進化、改良を続けていることもありとても高機能です。それ故、FileMaker のユーザーの方からはこのような言葉を聞くことがあります。

「FileMaker は簡単なことは簡単にできます。ただし、複雑なことを行おうとすると難しくなります。」

高機能ゆえ直感的に操作ができるところと、用語の理解や使い方を調べないと分からないところがあります。さらなる高みを目指す時に世界中の API を利用したり、サードパーティの有償プラグインを使うなど選択肢もありますが、FileMaker 標準機能を使いこなすだけでも皆さんの業務を助けるアプリが出来上がります。

充実した学習コンテンツ


FileMaker 公式トレーニング教材

FileMaker を使いこなしていただくために、Claris ではオンサイトで受講できる FileMaker Master Training(有償)のほか、公式トレーニング教材の FileMaker Master Book や Youtube のオンライン学習コンテンツなど無料で学べる機会も多くあります。
Claris のリソース:https://www.claris.com/ja/resources/

また、様々な業種や職種に応じたサンプルをダウンロードして、すぐに試したり自社業務に合わせて自由にカスタマイズすることもできます。
Claris FileMaker 業種・職種別無料サンプル:https://content.claris.com/jpapps

もちろん全てを皆さん自身で行う必要はありません。FileMaker カスタム App 開発のプロである全国のClaris パートナーがご要望に応じて皆さんの手助けをしてくれます。
Claris パートナー:https://www.claris.com/ja/partners/

なにはともあれ、まずは FileMaker を45日間お試しいただける無料評価版でノーコード・ローコードの旅に出発してみましょう!
Claris FileMaker 無料評価版:https://www.claris.com/ja/trial/