FILEMAKER

蓄積したデータからさらに価値を引き出す Claris FileMaker 2024

*このブログは、英語で公開された記事の翻訳です。

Claris FileMaker 2024 の発売に、開発者コミュニティは大いに盛り上がっています。新しいリリースには Let’s Encrypt、JSONMakeArray 関数、そして一番の目玉、新しい AI 機能など FileMaker の開発者からの要望が多かった機能強化が含まれているからです。

さらに、FileMaker 2024 ではカスタム App のメンテナンスがより迅速かつ簡単になる新しいツールが提供され、より安全で手間をかけずに展開できるようになります。

このブログでは、Claris のプロダクトマネジメント担当ディレクター Rick Kalman (リック カルマン) と Claris のプロダクトマーケティング担当ディレクターである Andrew LeCates (アンドリュー ルケイツ) の二人にこれらの新機能についてインタビューし、なぜこのリリースが特別なのか、その理由を紐解きます。

より多くの洞察を得る新しい方法としての AI の活用

FileMaker 2024 がこれまでのバージョンと一線を画す、パワフルな機能の 1 つは大規模言語モデル (LLM) を活用したセマンティック検索です。「本当にいろいろな意味で大きな影響を与える革新的なもの」とリックは言います。セマンティック検索は、既存のカスタム App に追加できます。迅速かつ信頼のおける形で実行でき、ワークフローを中断したり、カスタム App のアーキテクチャを危険にさらしたり、データに影響を与えたりすることはありません。

カスタム App にセマンティック検索を組み込むことによる大きなメリットには、次のようなものがあります:

  • キーワードの一致ではなく意味に基づいてデータを検索する新しい方法をユーザに提供できます。
  • 複雑なクエリではなく自然言語を使用して質問できます。
  • 以前は見つけられなかった回答を既存データから得られます。


AI が有意義な効果を発揮するためにはデータが必要です。私たちのお客様は、AI から真の価値を得るうえで決定的な強みを持っています。それはお客様自身のデータです。ユーザは以前よりも迅速にカスタム App からより多くの回答を得ることができるようになります。

Claris プロダクトマーケティング担当ディレクター、Andrew LeCates (アンドリュー ルケイツ)

このリリースではスクリプトワークスペースに新たに AI に関するスクリプトステップと関数が追加されました。これらの新しいスクリプトステップと関数は、AI アカウントの管理、ベクトル埋め込みの保存、意味的類似性の判断、効果的なプロンプトの構築、さらには速度とコストを管理するためのトークンの監視に至るまで、必要なすべてのツールを提供します。

モデル統合はパブリックモデルまたはローカルモデルと連携するように構築されているため、データのプライバシー、セキュリティ、コストを管理できます。

FileMaker 2024 における LLM のネイティブサポートは FileMaker 19 の CoreML サポートから始まった一連の AI 機能強化の次のステップであり、ユーザが AI を活用することでデータからより多くの価値を得られるよう支援するという、Claris のビジョンを示しています。

AI の活用は低リスクかつ低コストで行える取り組みである、とアンドリューは話します。「セマンティック検索は今あるデータのままで機能します。データを変更する必要はなく、ワークフローに影響することもありません」

まずは、小規模でターゲットを絞った試みから始めてその価値を検証することもできます。例えば、セマンティック検索を活用して従来のキーワード検索から意味のある結果を取得したり、データ内の不自然な値をレポートして新しい洞察を引き出すといったことができるでしょう。

迅速なカスタム App の構築と統合でメンテナンスを容易に

Claris FileMaker Pro 2024 では Data API、JSON、およびトランザクションをより効果的に活用する新しいスクリプトステップと関数が追加され、開発者はカスタム App の迅速な構築と統合のメンテナンス負荷を軽減できます。

下記の新しい機能強化はスクリプトとカスタム App の最適化に役立ちます:

  • [FileMaker Data API を実行] が書き込み操作をサポート - ファイルをナビゲートしたり、リレーショナル・コンテキストを切り替えたりするための余分なウインドウを使うことなく、データに対して直接、より高速にスクリプトを実行できるようになりました。
  • [トランザクション復帰] でサブスクリプトをサポート - ビジネスロジックやエラー処理への応答性が向上し、スクリプトを簡素化できます。
  • GetLiveTextAsJSON - 画像からテキストを抽出する際の結果を JSON で取得でき、その後の処理の中でデータが扱いやすくなります。

お気に入りの機能強化について尋ねると、リックは JSON 配列に関する機能だと答えました。この機能強化により、区切りリストを素早く簡単にJSON配列に変換したり、既存の JSON 配列にデータを追加したり、JSON 配列の最後の要素を簡単に参照したりすることができます。この機能強化により、複雑なスクリプトパラメータを扱う際の正確性と一貫性が向上します。

JSONMakeArray 関数を使用すると、開発者はより柔軟に開発でき、複雑なデータセットを扱う際の時間を節約できます。新しい AI 大規模言語モデル (LLM) 機能の活用を含め、異なる App やサービス間のデータ統合に不可欠な、ますます強力なツールとなっています。

Claris プロダクトマネジメント担当ディレクター、Rick Kalman (リック カルマン)

さらに、このリリースでは OData 4.01 への準拠が強化され、統合がより容易になりました。式をフィルタリングしてデータ転送を最適化し、エンティティ関係のナビゲートを直接サポートすることで複雑な統合を簡素化できます。

その他の改善点として、Claris FileMaker Go でのみサポートされていたローカル通知を Claris FileMaker Pro でもサポートしました。集中している時でも重要なアラートを見逃すことはありません。また Import.log にテーマと値一覧が含まれるようになり、カスタム App の更新内容をより深く理解できるようになります。

ほとんどのリリースと同様に、このリリースではみなさまのカスタム App がスムーズに動作し続けられるよう 200 以上の問題が修正されており、FileMaker のパフォーマンス、安定性、信頼性への継続的な投資を行うという Claris の約束を果たしています。これらの修正はユーザテストと開発者のフィードバックから直接得た結果です。ご協力いただいた皆様に感謝申し上げます。

より安全に、より少ない手間で導入

FileMaker Server では証明書のネイティブサポートが提供され、管理者はコンソールを利用してより安全で手間のかからない展開が可能となりました。

データセキュリティを強化し SSL 証明書のセットアップと管理を簡素化するために、無料で使いやすい証明書サービスである Let’s Encrypt が FileMaker Server で使用できるようになりました。Let’s Encrypt を使用すると、FileMaker Server (macOS / Ubuntu) に組み込まれたシステムスクリプトを使用して証明書の要求と更新を自動化できます。

開発者はFileMaker で Let's Encrypt をスケジュールに照らし合わせて設定できるようになったので、あとは実行するだけです。これは Claris コミュニティからの要望が多かった機能強化であり、多くの企業がこの無料の証明書サービスの恩恵を受けるでしょう。

Claris プロダクトマーケティング担当ディレクター、Andrew LeCates (アンドリュー ルケイツ)

FileMaker Server Admin Console の機能強化により、管理者はスケジュールをより明確に把握できるようになり、チームとユーザを管理するツールも充実しました。改良されたコンソールではスケジュールが 1 つのビューにまとめられ、管理者が自動化されたスケジュールの競合を回避するのに役立ちます。さらに、管理者はメンテナンス時におけるユーザの接続をブロックできるようになったので、メンテナンスの整合性を確保することができます。管理者の役割により組織内のチームやカスタム App をサポートする柔軟性が高まります。

アプリケーションのライフサイクルの管理はこれまで以上に向上しました:

  • FileMaker Server Admin API - ファイルのアップロードとダウンロードがサポートされたことにより、作業を自動化できるようになりました。
  • FileMaker Developer Tool - ファイル名を変更できるようになりました。
  • [名前を付けて XML として保存] - スクリプトステップとレイアウトオブジェクトをハッシュ化できるので、アプリケーションのバージョン管理に役立ちます。

モバイルデバイスは情報の収集に最適

「このリリースで FileMaker Go は FileMaker Pro のエクスペリエンスに近づきました」とリックは述べています。FileMaker Go でオブジェクトとインポートがあらゆる種類のデータをサポートするようになり、iPhone や iPad 上のカスタム App が、素早く情報を収集するための最適な方法になりました。

モバイルでのデータ収集はワークステーションの柔軟性を備えています。FileMaker Go のアップデートにより、あらゆるバイナリファイル形式をオブジェクトフィールドに取り込むことができるようになり、CSV のようなテキストデータ形式もインポートできるようになりました。さらに、GetLiveTextAsJSON はメタデータを提供するため、アプリスクリプトは画像からテキストをより正確に抽出できます。

新しいウィジェットのサポートにより、ユーザはモバイル App にワンタップで素早くお気に入りの App にアクセスできます。また、FileMaker Go の起動時に最も重要なカスタム App を起動する、といったこともできます。さらに、カスタム App からワンタップするだけで、Safari でウェブサイトやアプリケーションを起動できます。

多くの学習機会とリソース

エンジニアリングブログやリリースノートから Community Live イベント、AI デモ、Claris コミュニティのディスカッションまで多様なリソースが用意されており、効率よく学ぶことができます(一部は英語のみ提供)。「Claris コミュニティでは新しい FileMaker 2024 の機能を中心に盛り上がっています。コミュニティには 開発のエキスパートがたくさんいて、AI 機能やその他の新しい機能強化の使い方のガイダンスを共有しています」とアンドリューは強調して述べています。
リソースはこちら

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