世界中で新型コロナウイルスの感染が拡大する中、日本でもついに政府から緊急事態宣言が発表されました。今、ビジネスの世界に大きな変化が訪れています。
在宅勤務や時差出勤、会議のオンライン化、イベントのキャンセルや物流の制限など、これまで通りの働き方が難しくなったり、営業・販売方法や売上計画の変更を余儀なくされたりと、影響は多岐にわたります。
Claris は、このような状況下で働く人々が直面している課題を洗い出し、この状況を乗り越えるためのアイデアを共有できる場を提供することでみなさまのお役に立てるのではないかと考え、アンケート調査を実施しました。
アンケート調査は Claris のコミュニティの方々を対象に 2020 年 4 月 13 日(月)〜 16 日(木)の期間で実施、みなさまのご協力のおかげで、827 という多くの回答をいただきました。
厳しい環境の中、また普段以上にお忙しい中、たくさんのご回答、アイデアをお寄せいただきましたことに心より感謝申し上げます。
調査結果は、前編「働く環境の変化の実情」と後編「変化に対して工夫していること」の 2 回に分けてご紹介します。
前編である本記事では「働く環境の変化の実情」について、下記の 5 つの視点から、働く人々が直面している課題を洗い出します。
- 勤務形態の変化
- 仕事内容の変化
- 組織のシステム運用の変化
- Claris FileMaker の利用の変化
- 変化により生まれた課題
1. 勤務形態の変化
Q.政府の要請を受けて、勤務形態に変わりはありましたか? (4月16日時点回答)
- 在宅勤務になった(もともとホームオフィスも含む) 約 40 %
- 特に変わらない 約 40 %
- 時差通勤になった 約 7 %
- その他 約 15 %
自由回答の一部をご紹介します。
- 事務系を中心に出社人数を絞ったが、製造系はほとんど減らすことができないため車通勤を認めた。
- 勤務場所を分散(接触を減少させるため会議室など利用)
- 時短勤務に移行し、交代で勤務
- 営業を二つのグループに分けて、1週間単位で在宅勤務を交互実施
(筆者レビュー)どうしても出勤しなければならない業界や職種もあるため、完全に在宅勤務に切り替えられない組織が多いという実情が見えてきました。
そのような状況でも実現可能な策として「交代制で勤務」「公共交通機関を制限」「必要な時にだけ出勤といった回答も多く挙げられました。
2. 仕事内容の変化
Q.新型コロナウイルスに関連して、業務量に変わりはありましたか?
- 特に変わらない 約 42 %
- 業務が減った 約 32 %
- 業務が増えた 約 20 %
- その他 約 7 %
自由回答の一部をご紹介します。
- 決算の業務以外は、いつも通り。ただ通常の受注はやや少なめ
- 業務が増えたが、売上につながる仕事が増えたのではなく、関係他社や一部社員がこれまで同様のスピード、やり方で仕事が出来なくなった為、それを補う仕事が増えた
- イベントの企画が主な仕事だったので、どのように企画を変革させるかが求められており、仕事の量というより内容が変わった
- 医療関係なので、在宅というわけにはいかず、患者数は増えていなくても、予想されることに対する対策を検討するため管理実務は増えた
- 学校行事の精選、休業中の授業対策、宿題等の教材作りなど業務は増えた
- 部署によっては在宅が困難な作業がある為、交代勤務の場合、引き継ぎ等の業務がある
- リモート体制導入についての事例が今までなかった為、現在業者見積を依頼するなど検討中
(筆者レビュー)調査結果の数値上は、業務量が特に変わらない、という結果が多数を占めましたが、業務内容に変化があったという回答が多数見受けられました。
対面での業務が急にストップしてしまい、オンラインでの対応が求められたことによる影響のほか、医療関係者や教育機関などに勤務される方々が、感染拡大を防止する対策のためのイレギュラーな対応業務が増えていることがわかりました。
在宅勤務に向けての業務のオンライン化が求められるシステム構築だけでなく、社内規定変更やルール策定の確認業務など、別業務と言っても良いほどの対応が求められているようです。
3. 組織の運用システムの変化
Q.現在のクラウド利用状況について教えて下さい。新型コロナウイルス感染症対策に関連して、組織のシステム運用にどのような変化がありましたか?
- 既にクラウドにて運用 約 35 %
- 既に VPN導入済みで社内オンプレに外部からアクセス 約 27 %
- 今回の対応で VPN を導入(拡張)した 約 7 %
- 今回の対応でクラウド化を実現 約 2 %
- その他 約 29 %
自由回答の一部をご紹介します。
- 今から対策を講じる
- クラウド化を導入したいと目標を持った
- 病院なので、基本的にクラウドは使用していない
- クラウド利用もしていたが、リモートオフィスの構築について追加検討中
- VPN に関して以前に却下された予算が復活。現状のVPN 端末が業務には耐えられないことを認識した
(筆者レビュー)今回の異例の事態がきっかけで、クラウド化の検討を始めたという声が多く挙がっていました。在宅勤務によりリモートワークで対応をせざるを得ない状況になったことが大きな要因です。クラリス・ジャパン株式会社も2月末より一部の社員が在宅勤務を開始し4月8日には全員が在宅勤務に切り替えています。
業界的な理由で導入が難しいところもありますが、それでも6割の企業がクラウドやVPNなどモバイルワークに既に対応済であったということは FileMaker ユーザへのアンケートだったからなのかもしれませんね。
4. Claris FileMaker の利用の変化
Q. 新型コロナウイルス感染症対策に関連して、Claris FileMaker のご利用に変わりはありましたか?
- リモートから使う機会が増えた 約 10 %
- 新しいカスタム App を作った 約 3 %
- 特に変わらない 約 64 %
- その他 約 23 %
自由回答の一部をご紹介します。
- 使いやすく直そうと思っている
- 今後リモートで使おうと思っている
- バージョンアップを検討し、クラウド化を目論んでいる
- 旧バージョンのカスタムAppで運用していたが、今の状況にも合うものに変える必要に迫られている
- 業務改善の一環としてデータベースを新しく作る事は日常的に行っているので、今回も新しく作成した
- システムが社内のサーバー上にあるため、通常作業が行えないので新システムの作成を在宅で行っている
(筆者レビュー)上記設問で6割がVPNやクラウドに対応済であるように、ここでも6割超の方々が特に変わらないと回答しています。一方で、OS環境や旧バージョンなどが原因で変えたいのに変えられないという課題も浮かび上がりました。業務改善やビジネスの課題解決につながるツールとして生まれた Claris FileMaker 。もともと導入していた組織では、より幅広く活用したい、クラウド化などでネットワーク共有できるようにしたい、といった声があがりました。
5. 変化により生まれた課題
Q. 新型コロナウイルス感染拡大の影響による勤務形態やお仕事の変化で、困ったことはありますか?
- ある 約 57 %
- ない 約 43 %
自由回答の一部をご紹介します。
- 紙で業務管理していたが、在宅になり管理が難しい
- 受注は人と会ってから始まるのだが、会ってもらえる機会が減った
- ファイルメーカーが自宅に入っている人が少なく、持っている人に仕事が集中する
- 在宅勤務になったので、仕事上の小さな相談を向かい合ってできなくなったのが不便
- 決済の仕組みが構築されていないので、現在メールでのやりとりになってしまうので時間がかかる
- クラウド化したいが、書類中心、印鑑必要という化石業務が主流であるため在宅勤務ができない
- ITスキルのない人とのやり取りに時間がかかる
- 子供を保育園に預けられなくなったので、子供を見ながら仕事をするのは大変
(筆者レビュー)回答者の半数以上が困ったことがある、という結果になりました。
その内容は様々ですが、特に目立ったのはオンラインによるコミュニケーションや情報共有と、ペーパーレスに対応できていないこと。対面でのコミュニケーションに制限がある今、誰もが何かしらの IT 技術に頼らざるを得ない状況になっています。
IT が苦手なメンバーも置き去りにせず、組織としてどう対応していくのかが、この異例の事態を乗り越える大きな鍵となりそうです。
後編では、このような事態に対して Claris のコミュニティに属する Problem Solvers(問題解決者)のみなさんから寄せられたアイデア、対策についての調査結果をご紹介します。
また、Claris コミュニティの中に、新型コロナウイルスの感染拡大の影響による働き方の変化、働き方の工夫や、在宅勤務で役立つ FileMaker の使い方など、アイデアを自由に投稿いただけるグループ「COVID19情報交換」をご用意しました。ぜひ情報共有にご活用ください。https://bit.ly/claris20200422