これまでに 20 回以上の Claris Engage や DevCon に参加してきましたが、Claris Engage 2025 は特別でした。今回は、Claris プラットフォーム エバンジェリストという新しい役割で、世界中の数百人の問題解決者たち——初参加の方もいれば、長年活躍しているコミュニティの先駆者たちも——とつながる貴重な機会に恵まれました。私たちは共に、数々の伝説的なソリューションを称え、Claris FileMaker の 40 年の歴史を振り返り、そしてこれからのイノベーションの可能性を探求しました。
ぜひ、第 26 回目となるこの開発者カンファレンスのハイライトをご覧ください。
過去を振り返り、未来を再構想する。
プロダクトマーケティング ＆ エバンジェリズム ディレクターの Andrew LeCates（アンドリュー・ルケイツ）が、私たちを懐かしくも将来を見据えた旅へといざなってくれました。1986 年に初の GUI データベースとして登場し、その革新的なスタートを切った FileMaker が、いかにして現代のアプリ開発を形作る存在へと進化してきたかを辿りました。
WYSIWYG (ウィジウィグ：見たまま編集できる方式) が革新的だった頃を覚えていますか？FileMaker が 1990 年代初頭に Mac と Windows のクロスプラットフォーム対応を先駆けて実現した時のことは？そこから私たちは、リレーショナルデータベースソリューションを構築し、Web 公開に挑戦し、FileMaker Go でモバイル対応を進め、そしてついにはクラウドへと展開していきました。
私たち全員がここまで歩んできた道のりを思うと、本当に驚くばかりです。そして、そのすべてのステップにおいて、Claris は一貫して「パワフルなテクノロジーをすべての人へ」という使命を貫いてきました。
アンドリューは、Claris プラットフォームを “ワークプレイス・オペレーティング・システム” の土台として再構想するよう、参加者に呼びかけました。彼が述べたように、「これは単なるソフトウェアではありません……あらゆる場所で活躍する創造的な問題解決者のためのイノベーションの中核なのです」
AI ブームを超えて、その先へ。
Claris Engage 2025 において、最も強く響いたテーマを一つ挙げるとすれば、それは「人工知能」だったと言えるでしょう。それも理論だけでなく、実際の現場での活用が中心でした。セッションのたびに、Claris チームは「問題解決者こそが、AI の力を最大限に引き出せる存在だ」と強調しました。Claris の CEO である Ryan McCann (ライアン マッキャン) も明言しています。「問題解決者、プロの開発者、そして Claris プラットフォームが 一体となったとき、そこには魔法が起きるのです」
ライアンはさらにこう説明しました。 「AI はこれまでにないスピードでソフトウェア開発を変革しています……市場の流れを私たちに有利な方向へと動かしているのです」それは、FileMaker が持つ無限のカスタマイズ性と価値あるビジネスデータの力が掛け合わさっているからです。
はっきりさせておきたいのは、AI が開発者に取って代わることはありません。むしろ、みなさんの存在はこれまで以上に重要になっています。AI は、開発者のみなさんに「開発のスーパーパワー」を与えてくれる存在です。そして FileMaker なら、すでに手元にあるデータとカスタマイズ性を活かして、生成 AI をご自身のカスタム App にすぐに統合することができます。
迅速なイノベーションを実現する。
FileMaker のコアコンポーネントとして AI を活用することで、以前よりもさらに迅速かつコスト効率よくイノベーションを進めることができます。これらのツールは、自然言語を使ってカスタム App とやり取りしたり、これまで簡単にはアクセスできなかったデータを解放したりするなど、新たで豊かなユーザ体験を作り出す力を与えてくれます。
ここで特に強調したいことがあります：
カスタマイズ + AI + 深いデータ = より強力なビジネスソリューション
「AI はイノベーションを加速させるだけではありません。準備ができている人とそうでない人のギャップを広げているのです」
- プロダクトマネジメント担当バイスプレジデント、Giuliano Iacobelli (ジュリアーノ イアコベリ)
「AI はイノベーションを加速させるだけではありません。準備ができている人とそうでない人のギャップを広げているのです」とプロダクトマネジメント担当バイスプレジデント、Giuliano Iacobelli（ジュリアーノ イアコベリ）は述べています。幸いなことに、もし今あなたが FileMaker の開発者なら、すでに一歩先を行っています。なぜなら、AI をカスタム App に追加するのは、わずか数スクリプトステップで実現できるからです。
AI に一歩踏み出すために、まずは大規模言語モデル（LLM）やセマンティック検索、そして現在利用可能なその他の機能に慣れ親しんでください。FileMaker と AI 統合の新機能について学び、今年後半に Claris が FileMaker の 2025 バージョンをリリースするときに追加される AI 機能にも備えましょう。
AI でイノベーションの可能性をさらに深める
大規模言語モデル（LLM）を活用し、ローカル AI モデルを安全に展開し、Claris の Retrieval Augmented Generation (RAG、検索拡張生成) 機能を使用して AI 機能をカスタマイズできます。これらのツールを使えば、次のような高度な AI 駆動のアプリケーションを構築できます：
- 関連するデータと画像を簡単に見つけ出すための改善された検索機能。
- 自然言語を使用したセマンティック検索。
- キーワードの完全一致ではなく、意味や文脈に基づいて情報を見つける機能。
- データドリブンな洞察を強化。
Claris はAI がこれからも続いていくことを確信し、複数年にわたるアプローチを採用し、多くの AI 機能を搭載して FileMaker を強化してきました。そして FileMaker 2025 に向け、大きな革新をもたらす機能を開発中です。Claris のプロダクトマネージャである Ronnie Rios (ロニー リオス) は私たちが目指す未来を示し、エージェンティックシステム（タスクを独立して計画し実行できるインテリジェントなソフトウェア）の未来を紹介しました。
「エージェンティックシステムの作成はそれほど難しくありません。ただし、信頼できるエージェントを作成するには、フルスタックのアプローチが必要です」と述べています。このような AI ツールは開発者がこれまでにないような豊かで新しいユーザエクスペリエンスを生み出すことを可能にします。
今後予定されている AI および FileMaker に関する Ronnie Rios の Community Live にサインアップする（英語）。
フルスタックのプラットフォームのアプローチを採用
AI に多くの焦点を当ててきましたが、AI は重要な能力を持ちながらも、単なる手段にすぎません。AI が構築されている基盤、つまり Claris のような強力かつ統合されたプラットフォームに完全に依存しています。本当の革新的な進歩は AI が機能豊富な開発プラットフォームを補完するときに起こります。
だからこそ、Claris は統一されたプラットフォームアプローチに真摯（しんし）に取り組んでいるのです。
- FileMaker は統一されたプラットフォームの中核です。複雑な業務を行う社内チーム向けに最適化されています。
- Claris Studio はレスポンシブな社外向け Web ソリューションを提供し、プラットフォームの機能を拡張してデータ収集能力を深めます。
- Claris Connect は API を使ってシステム間でデータをシームレスに統合し、技術スタック全体を自動化することを可能にします。
ジュリアーノは、将来のライセンス体系に関する新たな発表を行いました。FileMaker に加え、Claris Studio および Claris Connect も統合ライセンスモデルを通じて利用可能になり、有効なライセンス契約を持つ問題解決者は Claris プラットフォーム全体の価値を最大限に活用できるようになります。
Claris Studio と Claris Connect で新しい可能性を最大限に引き出す
Claris Studio はシームレスな社外向けソリューション、動的なクライアントポータル、直感的な Web エクスペリエンスを求めるユーザにとって画期的なものです。これにより、ビジネスデータの力を高めるためのより優れた方法が提供されます。
Claris のプロダクトマネージャである Robert Holsey (ロバート ホルシー) によると、「ソリューションを Web に簡単に拡張できる能力は、社内チームと外部ユーザをひとつの統合されたカスタムソフトウェアシステムのスタックでシームレスに接続できる力を与えてくれます」
「ソリューションを Web に簡単に拡張できる能力は、社内チームと外部ユーザをひとつの統合されたカスタムソフトウェアシステムのスタックでシームレスに接続できる力を与えてくれます」
- Claris のプロダクトマネージャ、Robert Holsey（ロバート ホルシー）
iFrame の埋め込み、フォームの事前入力、外部のアイデンティティプロバイダとの統合、カスタムビューなど、Claris Studio の最新の機能強化はまもなく利用可能になる予定です。さらに、Claris Connect には新しい Claris Studio コネクタが搭載され、開発者はソリューションをより簡単に自動化して拡張できます。
継続的なデジタルトランスフォーメーションを実現するための明確な道筋を作る。
基調講演ではマーケティング担当バイスプレジデントである Ann Devens (アン デベンズ) が、皆様の成功と持続的なイノベーションに対する Claris チームの取り組みについて強調しました。デジタルトランスフォーメーションは 1 回限りのイベントではなく、次のような重要なマイルストーンを伴う道のりです：
- 問題の特定。優れたソリューションは課題から始まります。問題解決者は真の価値を生み出すカスタムソリューションを求めて Claris を選びます。
- 最初の成功の達成。初めて App が成功したときはカスタムソリューションがビジネス運営の方法を変革することができると証明する画期的な瞬間です。
- 成功の拡大。最初のソリューションの影響を目の当たりにすると組織全体で最適化とイノベーションを進めるための勢いが生まれます。
- イノベーションによる将来を見据えた設計。先進的な考えの問題解決者は、進歩を促進する新しいソリューションを作り出し、繰り返し、進化させ続けます。
アンは次のようにまとめています：「デジタルトランスフォーメーションは今作っているものだけにとどまらないのです。それは、未来に向けての構築に必要なスキルを高めるために、適切な人材とリソースを確保することです」
だからこそ、Claris は皆さんの成功に本気で取り組んでいます。初めての一歩から、成長、そして継続的な成果へとつながる道のりまで。Claris Academy の自分のペースで学習できるコースや資格認定プログラム、ライブ配信や実践的な Explorer Labs などを通して、あらゆるスキルレベルの開発者が学べるリソースを常に進化させています。Claris コミュニティに参加して、開発スキルを高めるためのあらゆるサポートを活用してください。
「自分で作るより、プロに任せたい」という方は、Claris パートナーがお手伝いいたします。パートナーがデジタルトランスフォーメーションと継続的な改善をどのように推進しているか、成功事例をぜひご覧ください。
この 1 年間のイノベーションを称えて。
基調講演では、Marie Normand (マリー ノルマン)、アンドリュー、そして私が 2024 Claris Excellence Awards の受賞者を発表しました。これは Claris のテクノロジーの可能性を広げた開発者やパートナーたちの功績を称えるものです。Soliant Consulting 社の Wim Decorte（ウィム デコルテ）氏がコミュニティへの貢献に対して Lifetime Achievement Award を受賞した瞬間、会場は大きな歓声に包まれました。
受賞者の一覧をこちらからチェックして、ぜひ一緒に受賞者の業績を祝いましょう。
Claris のレジェンドに感謝を込めて。
FileMaker の 40 周年を記念して、Claris の偉大な貢献者を称えるための時間を設けました。ライアンは、Claris に 30 年以上にわたって情熱を注いできたアンドリューの引退に際し、心温まる乾杯のスピーチを贈りました。
「37 年前に FileMaker と出会えたことは、ただただ運が良かったと思っています。それが私に、誇れるキャリア、そして世界中の仲間の開発者との深い友情を与えてくれました。Claris がプラットフォームに今後どのような変化をもたらすのか、これまで以上に楽しみにしています。だからこれからも、私は Claris とともにアプリを作り続け、コミュニティの皆さんと一緒に AI の新機能を学び続けますよ！」とアンドリューは声を弾ませました。
個人的な想いとして、アンドリューの多大な献身、リーダーシップ、複雑なことを明確に伝える能力、そして特に私が彼と知り合ってから過去 24 年以上の友情に、心からの感謝を伝えたいです。Claris にあなたがいなくなるのは寂しいけれど、本当にありがとう、アンドリュー。
未来を見据えて。
全体として、Claris Engage 2025 は Claris の現在地と方向性、つまり独創性、イノベーション、AI の魔法によって支えられる可能性にあふれた未来を鮮やかに描き出しました。
問題を解決し、限界を押し広げ、素晴らしいソリューションをともに構築し続けましょう。