開発者インタビュー

医療現場の問題解決をITで導くために、営業として必要な心得。

化粧品会社の法人営業からシステム会社の立ち上げメンバーとなった株式会社エムシスの大塚康貴さん。異業種転職でどのような経験をしたのか、お話をうかがいました。

やってみよう。自分を信じて、未知の IT 業界へ。

新卒で入社したのは美容室専門の化粧品会社で、配属は営業でした。ちょうどバブルの時代で社内は活気に溢れ、勢いもあって、ここで挑戦する事にやりがいを感じて入社したのを覚えています。

営業の仕事を始めて約 7 年経ったころ、会社の先輩だった現株式会社エムシス代表取締役の秋山に「システム開発の会社を一緒にやってみないか」と声をかけてもらいました。

 IT 業界とは縁がない社会人生活を送っていたのですが、「彼とだったら心配ない」と、思い切って飛び込みました。会社設立までに 何度か FileMaker の勉強会はあったものの、未経験の状態で株式会社エムシスの営業として参画することになりました。

株式会社エムシス 代表取締役 秋山幸久さん(写真左)と大塚康貴さん(写真右)

現在、株式会社エムシスは、「だれでも、どこでも、どのようにでも」をコンセプトに FileMaker プラットフォーム で構築した電子カルテを提供していますが、設立当初は、電子カルテではなくレセコン(医療会計ソフト)やリハビリステーション科向けのシステムを販売していました。

最初の 1 年は飛び込み営業がほとんどで、大きい病院だと実績がないと導入まで至らず、苦戦したのを覚えています。それでも足を運ぶのをやめなかったのは、デモを見せた現場の方から「こういうのが欲しかった」という声を頂いていたからだと思います。初めて成約が決まった病院は今でも昨日のように鮮明に記憶しています。院長先生の目の前でデモンストレーションして、その場で結論をいただいたんですよ。

その瞬間、自分のなかで何かが変わった気がしますね。

付き合いの長いお客様とも、初心を忘れず丁寧に。何でも頼られる安心させる人をめざす。

これまで営業を長く続けてきて、人とコミュニケーションをとる際に大事にしていることがあります。それは、お客様との距離感。付き合いが長くなると、慣れてしまい、どうしても丁寧にコミュニケーションをとることを怠ってしまうと思います。そうなると、せっかく信頼してお仕事を依頼してくれているのに、ちょっとしたことで関係性が崩れてしまいます。どんな時も、初心を忘れず丁寧に要望をヒアリングして対応することを常に意識しています。

システム営業としてお客様と開発者の架け橋となり、医療現場の課題解決を支援している

もうひとつ大事なのは、付加価値が提供できているかどうか。営業として、お客様にとって有益な情報を提供できるよう心がけています。そのために、勉強は何年経っても続けています。特に電子カルテを提供するようになり、医療関係者の方々に認めて頂くためには、自分の持っている情報の提供以上に大切にしていることがあります。それは、相手に敬意を払って謙虚な姿勢でお話を伺って学ばせて頂き、課題を解決するための知識を蓄えることです。

これは医療業界の知識だけではなく、 FileMaker の技術的な知識にも言えます。開発者ほどの知識というわけではないですが、お困りの時にできるだけその場で解決できるように、日々勉強させて頂いています。

初めて受注したあの日、院長先生の目の前でデモンストレーションをしながら提案をした時に考え方が変わりました。営業とは、「製品やサービスをお客様に紹介し販売すること」ではなく、「お客様の抱えている問題を解決へ導く仕事」だと。そして、「現場の課題を解決してお客様が成長する過程を一緒に歩むこと」だと今は日々実感しているからこそ、自分自身が成長を続け、広い視野を持ち続けたいと思います。

 【編集後記】

 インタビューを通して、大塚さんの謙虚で困っている人の良き理解者になろうとする、仕事への姿勢がとても伝わってきました。話をしていて人を安心させる人間力を培うためには、コミュニケーションをとる際の人との距離感や、解決策を示せるように知識を常に蓄積し続けることの小さな積み重ねであること。これはどの業界、どの仕事においてもとても重要なことだと感じました。そして、営業とは売ることではなく、商品を利用していただき、お客様が幸せになっていただくこと…学びの深いインタビューとなりました。