現在、マイナビニュース主催の FileMaker 選手権 2021 が開催されています。盛況に終わった前回の FileMaker 選手権 2020 は開発未経験者部門、エンジニア経験者部門の 2 部門でアプリを募集。全 54 作品の応募の中から、開発未経験者部門で見事に銅賞を受賞された roromich さん(ユーザーネーム)に応募のきっかけや作品の特徴や、コンテストに対しての感想をうかがいました。
独自性をもたせることで、他にはない作品に。
roromich さんは、三重県で不動産業を営むかたわら、学習塾のシステム管理もおこなっています。受賞した作品は「 100 masu & 100 wari 」という教育系のアプリ。「 100 masu & 100 wari 」は、小学生が算数の授業で取り組むことも多い 100 マス計算と、その応用編である 100 割( 100 問の余りのある割り算)計算ができるアプリです。審査員からは、新しい技術であるヒートマップカレンダー機能が使われている部分、メモ機能やタイムライン機能などを搭載しており、家族やクラスなどの複数人で活用するコミュニケーション設計が評価されました。
作品の応募のきっかけについて、 roromich さんは次のように語ります。
「もともと FileMaker 選手権が、過去にも開催されていたことは知っていました。当時は、そこまで開発の技術もなく、仕事も忙しかったため、参加はしていませんでした。ただ、いつかまた開催されたらぜひ参加したいなとは思っていました。そんななか、 Claris さんの公式サイトで FileMaker 選手権が復活するといった告知が出ていたので、ぜひ参加しようと決めました。入賞の賞品も魅力的でしたね。」
「 100 マス計算」と同じような機能を持つアプリは他にも存在します。そこで roromich さんは、独自性を持たせるため、難易度の低い 20 マス計算をはじめとする、さまざまな追加機能を開発したそうです。
「世の中にはすでに通常の 100 マス計算ができるアプリはたくさんありますので、差別化を図るために、他の機能を追加しました。 100 マス計算がまだ難しい子ども向けに、 20 マス計算の機能をつけました。また、 100 マス計算は採点にも手間がかかります。採点する側の手間を省くために自動採点機能も搭載しました。そのほか、計算能力の向上が目に見えて分かるように、タイマー機能もつけました。
このような機能を追加することで、使用する子どもたちに、モチベーションを維持しながら、楽しんで取り組んでもらえるようにしました。塾の現場で見てきましたが、計算途中で飽きてしまうのをなんとかして防ぎたかったんです。さらに、採点も自動化することで、先生がいない時でも一人で学習することができるんです。子どもだけでなく、認知症防止のために高齢者にも使っていただくことも想定しています。」
開発の時間を確保することが、いちばん大切。
応募締切の 1 か月前頃から作品の開発を始めたそうですが、開発の道のりは、平坦な道ばかりではなかったといいます。それでも、目の前の壁を超えるために、あらゆるアプローチを試み、乗り越えてきました。
「多少の知識はありますが、システム開発を専門としているわけではないため、実装の難しい部分も多かったんです。こうしたい、という理想は描けているものの、実際のスキルが追いついていない部分もありました。そんな時は、 Claris の公式 Youtube チャンネル で解決法を探したり、コミュニティで同じ課題を持つ方の質問に対する回答をヒントにしたりして、一つずつ課題をクリアしていきました。また、以前より週に 1 回、個人的に受講していたシステム開発のオンライン講義の力も大きかったです。講師の方に開発に関するアドバイスや新しい技術をレクチャーしていただき、 FileMaker そのものに対する知識も増えました。」
専門的な開発知識がなくとも、 web や書籍での学習、プロのサポートから学びとり、開発を進めていたようです。
プログラミングが得意な方やエンジニアの方などは専門知識を持っているため、開発に取り組みやすいと思いますが、 roromich さんのように他の仕事を本業としている方はなかなかモチベーションを保ちづらいもの。どのようにモチベーションを維持しながら取り組んだのでしょうか。
「無理にでも、”開発する時間” を確保することで、モチベーションを維持していました。やはりいつでもできるという感覚になってしまうと、腰を上げるまでに時間もかかるし、後ろ倒しになってしまいがちです。私が関わっている学習塾でも、塾に行く日が決まっているため、気分が乗らないときにでも行ってしまえばやらないといけない環境に身を置くことができ、自然にスイッチが入ります。それと似ているかもしれませんね。」
FileMaker 選手権に応募するため真剣に取り組んだものの、入賞できるとは思っていなかったとのこと。
「 SNS で FileMaker 選手権に応募している方の情報を見てみると、私よりもはるかにレベルの高い方もいるので、技術的な観点からみると、入賞は難しいかなと考えていました。それでも、アイディアやテーマ、その他の部分でなんとか入り込めないかと、実は期待もしていました。」
銅賞受賞の連絡は嬉しかったが、それと同時に嬉しかったのが審査員のレビューだったそう。
「審査員の方のレビューを読み、評価された部分に喜びつつも、反省点もありました。ただ、プロの視点で作品をみてコメントをいただける機会はあまりないので勉強になりましたね。他の入賞者の方の作品とそのレビューも見ることができるため、今後の開発に参考になる部分も多かったんです。全体的に学びが多いコンテストになったので、参加して良かったとあらためて思います。」
試行錯誤することで、自身の力へ。
FileMaker 選手権のようなコンテストがあるおかげで、オリジナルのアプリをつくろうという前向きな姿勢になれると roromich さんは語ります。
「やはり何かきっかけがないと、実際に手を動かすのはハードルが高いと感じることもあります。しかし FileMaker 選手権に応募して自分の力量を試すと考えるとモチベーションもあがり、さらに他の参加者の作品も見ることができます。開発に関わる技術を学ぶことができるのはいいですね。自分自身、試行錯誤して開発することで、スキルも磨かれたと思います。FileMaker 選手権への参加は、もし入賞できなくても、時間をかけて開発したという経験がこれからの人生の中で必ずプラスになるはず。プログラミングやシステム開発を専門にしていなくとも、工夫次第で入賞を目指すことができます。私自身、今年も再びチャレンジして入賞を果たしたいと思っています。ぜひ一緒に頑張りましょう!」
FileMaker 選手権 2021 は、現在ご応募受付中です。今年はゼロから開発したアプリを応募するオリジナル部門のほか、テンプレートをベースにカスタマイズ性を競うテンプレート部門も新設されており、より初心者の方の参加がしやすくなっています。締切は 10 月 13 日。 FileMaker ユーザの方から、エンジニアやアプリ開発に興味がある方まで、みなさんのご応募をお待ちしています。詳しくは FileMaker 選手権 2021 特設ページ にてご確認ください。
【編集後記】
本業でお忙しいなか、取材を快諾してくださった roromich さん。 FileMaker 選手権に対するモチベーションが高く、努力したことが必ず将来の自分にプラスに働くと前向きに捉えていることが印象的でした。プログラミングの知識がなくても気軽に参加できるこのコンテスト。多くの方が参加することによって、システム開発の楽しさや、参加者の方同士の交流が深まればいいなと感じました。
「 100 masu & 100 wari 」ファイルは、マイナビニュース内、FileMaker 選手権 2020 のページからダウンロードいただけます。