Claris FileMaker Pro は、データベースとアプリケーション開発のためのソフトウェアです。この記事では、FileMaker Pro の特長と導入するメリットについて詳しく説明します。FileMaker Pro は、データベースの設計やカスタムアプリケーションの開発をはじめとして、多くの重要な機能を実装することができます。それでは、FileMaker Pro の特長について見ていきましょう。
1. データベース設計が簡単
FileMaker は、直感的インターフェースを備えており、データベースを簡単に設計できます。テーブル、フィールド、リレーションシップもすぐに作成できるため、データの整理が容易になります。またデータ入力画面についても、FileMaker Pro にはフォームや帳票を思い通りにデザインできるツールが豊富に備わっており、自由な発想で UI(ユーザインターフェース)を作成できます。
2. カスタムアプリケーション(カスタム App)の開発
FileMaker は、データベースや帳票の作成だけでなく、カスタム App の開発にも利用できます。自社のビジネスニーズに合わせたアプリケーションの内製も可能です。FileMaker にはどこまでも機能を増やせる拡張性と、どのような要件やプロセスの変更にも対応できる柔軟性があります。小さなアプリから始めて、ビジネスの成長に合わせて必要なタイミングに必要な機能を追加し、拡張していけるのです。
3. クロスプラットフォーム対応
FileMaker は、Windows、Mac、iPhone、iPad、Android(Web ブラウザ経由) など、さまざまなプラットフォームで利用できます。そのため業務でどのような端末をご利用でも、データへのアクセスが可能です。
4. 豊富なテンプレート
初心者から上級者まで、幅広いユーザに対応する豊富なテンプレートを提供しています。テンプレートサンプルファイルや、ボタンアイコンテンプレート、レイアウトテーマテンプレートを使うことで、プロジェクトを迅速に開始できます。
5. 強力なスクリプティング
FileMaker Pro は、独自のスクリプティング言語を備えており、カスタムアクションやワークフローを日本語で柔軟に設計できます。これにより、業務の高度な自動化が可能になり、作業効率が向上します。
6. セキュリティとアクセス制御
データを扱う上でセキュリティは最も重要な問題の 1 つです。FileMaker Pro ならデータベースとアプリケーションへのアクセスを細かく制御でき、ユーザごとに情報の閲覧・編集権限を管理可能です。大切なデータの保護を強化します。ユーザアクセスの制御が細かく設定でき、ユーザごとに特定の権限を付与できます。それにより、セキュリティを重視したアプリケーションの構築が可能です。例えばログインするユーザやグループごとにアクセスできるファイルやレイアウトを制御したり、書き込み・参照権限・エクスポート権限などを変更したりすることが容易です。アクセス権を制限したキオスクモードは、図書館の蔵書検索システムや、医療施設の近隣病院検索などにも利用されています。
7. リアルタイムデータ共有
複数のユーザが同時にデータベースにアクセスでき、リアルタイムでデータを共有できます。Claris FileMaker Server でカスタム App を展開することにより排他制御がコントロールされ、複数人で共同作業が簡単に行えます。FileMaker Server では最大 2,000 名(注)の FileMaker Pro からのアクセスを処理できます。(注:接続数の上限はハードウェアの構成、カスタム App のデザイン、アクティブユーザ数、オペレーティングシステム、またはライセンス契約/サブスクリプションによって制限されます)
8. モバイルアクセス
App Store で無料配布されているアプリ「Claris FileMaker Go」を使うと、iPhone や iPad からカスタム App にアクセスできます。外出先や工場などの現場でもデータの確認や編集が可能です。
FileMaker Go は、Claris FileMaker Cloud や オンプレミス版 FileMaker Server に接続することでリアルタイムに情報を反映できるほか、デバイスにカスタム App を保存して利用することもできるため、インターネット環境がない圏外エリアでもカスタム App を利用できます。オフラインで動作するファイルとオンラインファイルを組み合わせ、ハイブリッド環境でのアプリ構築が可能です。そのため、山間部や海上の船舶、航空機内などでの業務や、厚いコンクリートに囲まれた原子力施設などの設備点検などにも利用されています。
9. AI との統合
FileMaker では Apple の機械学習フレームワークである Core ML を利用した機能も活用できます。CreateMLで作成した学習モデルを利用し、FileMaker の持つデータを元に推論をカスタム App 上で実行することができます。これにより、専門知識がなくても高度な機械学習を活用でき、ビジネスの意思決定を強化します。さらに、FileMaker Go から iPhone や iPad のカメラを使って撮影した画像から、瞬時に文字データを取得することができます。FileMaker 2024 からは LLM の技術を利用したセマンティック検索機能が提供され、より直感的なデータ検索が可能となりました。キーワード一致だけでなく、意味や文脈に基づいた検索結果が提供され、必要な情報を迅速かつ正確に見つけ出せます。
10. 外部データの統合
FileMaker Pro は、外部データソースとの統合が容易で、異なるデータベースやアプリケーションとのデータの連携がスムーズに行えます。ODBC・JDBC などオンプレミスサーバとの接続や、CSV、Microsoft Excel、XML などを介したデータ交換が容易です。多くの外部アプリケーションや Web サービスとの連携については、REST API を通じて他のツールとデータを共有できます。Claris Connect を利用することでワークフローを統合したり自動化できます。
11. カスタマイズ可能な帳票やレポート
FileMaker Pro で帳票を簡単に作成でき、データの可視化が効果的に行えます。FileMaker には PDF ライブラリがあり、PDF 生成をするための他のアプリケーションやプラグインが不要です。FileMaker Server によって展開される場合には、Claris FileMaker WebDirect 機能を有効化することで Web ブラウザ経由で誰もが簡単にレポートにアクセスすることが可能です。物流業界などで利用されているドットインパクトプリンタなど印刷微調整が必要なシーンでも、現場で簡単に修正や変更が可能です。
12. データ可視化
チャート、グラフ、地図などのデータ可視化ツールを使用して、データを視覚的に理解しやすくし、データに基づいた意思決定をサポートします。最新の FileMaker Pro は JavaScript に対応しており、Chart.js などを活用した多彩な表現が可能です。
13. Web データの取り込み
FileMaker のスクリプトやスケジュール機能を使うことで Web 上の値を定期的に収集し、FileMaker カスタムApp にデータを取り込むことができます。これにより、データ収集と分析が簡単に行えるほか、収集した値の変化によって、自動的にメール送信することも可能です。
14. クラウド対応
FileMaker Cloud を利用することで、クラウド上でデータベースをホストし、データへのアクセス方法をさらに拡大できます。自社内でのサーバー管理が不要になり、自動バックアップとアップデートにより、常に最新の状態が維持され、IT 管理者の負担が軽減されます。予算やリソースに制限のある中小規模の企業でも大企業と同じレベルのテクノロジーを安全に利用できます。
15. サポートとコミュニティ
FileMaker には公式のサポートはもちろん、活発なユーザコミュニティがあります。他のユーザたちとの交流を通して、問題解決やアイデアの共有ができます。
Claris International Inc. について
最後に、機能の話とは違いますが FileMaker を提供する Claris International Inc. について。Claris International Inc. は、米国カリフォルニア州に本社を置く Apple Inc. の 100% 子会社で、30 年以上に渡って黒字決算を継続しています。セキュリティやガバナンスに重きを置く Apple 同様、Claris においてもそれらは最優先事項です。重要な会社の情報資産を委ねる製品として、事業継続性やセキュリティ面で信頼を置けることもFileMaker の特長の 1 つと言えるかもしれません。