株式会社ジュッポーワークス(以下、Juppo)は、ローコード開発プラットフォーム、Claris FileMaker を活用したシステム開発会社で、Claris Platinum パートナーに認定されている。
技術の最前線にいながらさらに革新を追求し、従業員に柔軟な働き方を提供することで知られている Juppo。今回は Juppo 社員 森高亜弓 氏が、2020 年に入社し、OJT を経て 2021 年に 大阪ガスリキッド株式会社の開発主担当として活躍するまでの歩みを通して、「Juppo で働くこと」の魅力を深掘りしていく。
大阪ガスリキッド株式会社 事例: 産業ガス配送を通じた ESG への取り組みを iPad と AI で効率化
大学時代からの情熱がキャリアの原点に
現在 Juppo 大分オフィスで活躍している森高亜弓氏の経歴は、とても興味深い。森高氏は大学時代、生物生産学部に所属し、部活動ではホームページ制作を担当していた。このことがきっかけで IT 業界に興味を持ちはじめ、卒業後は Web 制作会社に就職した。ちなみに、森高氏は大学時代から現在に至るまで Apple 製品、特に Mac を愛用しているということだ。
FileMaker との出会い
地元大分県にある染物業へと転職し、その企業ホームページ制作を森高氏が担当していた時、その延長で在庫管理や受注管理の業務効率化に携わることになった。
その企業では、在庫管理や受注管理に Microsoft Access を使っていた。しかしそれは Windows 専用だったので、現場で使用している iPad ではアクセスすることができない。Windows でも iOS でも使えるアプリケーションを探していたところ、FileMaker にたどり着いたという。
2018 年 12 月、森高氏は個人で FileMaker Pro 17 Advanced を購入し、早速ローコード開発に着手した。在庫管理や受注管理については、FileMaker プラットフォームをベースにし、システムをリプレースすることで業務効率化が実現できると確信し、上層部へ提案した。しかし当時の経営層に対してうまく魅力を伝えられず、また既に Access が動いていたことから、FileMaker の導入には至らなかった。
人生の転機となった転職
FileMaker で業務効率化が実現できるとの思いを持ち続けていた森高氏は、2019 年 11 月に東京 虎ノ門ヒルズにて開催された FileMaker カンファレンス(現 Claris カンファレンス)に意を決して大分県から単身参加する。その時点では、FileMaker プラットフォームで開発ができる外注先を探すことが目的だった。
森高氏はさまざまなセッションのうち、「FileMaker Business Alliance (FBA)* に 開発依頼するポイント」という、外注するための心得について語るパネルディスカッションを聴講し、頭に雷が落ちたかのごとく、ハッとさせられたと言う。
* FileMaker Business Alliance (FBA) : 現 Claris パートナー
「転職して自分が技術を身に付け、その技術をもって顧客に提案したほうが早いのではないのか?」
そのパネルディスカッションに登壇していたうちの 1 人が、Juppo のシニアエンジニア 永井 求 氏だった。
他のパネリストの話や永井氏の語る FileMaker の魅力、開発者としての率直な意見を聞いているうちに、森高氏の中に永井氏と一緒に働いてみたいという想いが生まれた。そしてその想いは大分に戻って決意に変わる。森高氏は自らの退路を断つために、勤めていた会社に辞職願を提出し、Juppo の人材募集に応募。翌月採用が決定した。
OJT を経て成長
2020 年 1 月、念願の Juppo に入社が決まった森高氏は、大分から大阪に転居。9 か月にわたる OJT でFileMaker を一から学んだ。Juppo での FileMaker トレーニングは、実践を通じて学ぶスタイルが重視され、いくつかのプロジェクトでは顧客と直接向き合う機会も得た。着実に FileMaker に関する深い理解と技術スキルを身に付け、2020 年10月 Juppo 東京オフィスに着任したが、コロナ禍で行動制限が続き、余儀なく在宅勤務での業務に追われることになった。
入社から 20 か月。主担当としての初プロジェクト
在宅勤務をしながらもいくつかのプロジェクトに携わり成長した森高氏に、憧れの先輩である永井氏から声がかかった。「産業ガス配送業務で DX する大阪ガスリキッドの案件、やってみない? 紙から iPad へ移行するのに、AI も使うプロジェクトになるよ」と誘われた。アシスタントとして「一緒にプロジェクトをやろう」と言われているのかと思いきや、まさかの主担当としてのアサインだった。永井氏曰く、「初めてでも挑戦させることが大事。問題が起きても、自分がフォローできる」と決意し、森高氏を主担当にアサインしたという。
こうして 2021 年 9 月から開始されたプロジェクトは、翌 2022 年 2 月まで 6 か月に及んだ。必要に応じてフォローアップはするものの、永井氏は森高氏が自分で手を動かすこと、そしてすべて森高氏の手でつくることにこだわった。
育つ環境を提供する、土壌としての企業文化
Juppo の OJT は「育てる」ことよりも「育つ環境を提供する」ことに重点を置いている。本プロジェクトにおいて永井氏は本番環境に一切手を入れず、あくまでも主担当である森高氏一人にアプリ開発を任せた。そうすることでシステム開発を「コーディング作業ではない、クリエイティブな仕事である」と認識させたという。
「FileMaker のアプリ開発は、開発と UI デザインの両面の技術が求められます。自分の考え方を伝えて、それをどのようにシステムに反映させるか。本人の理解度によって全く変わってきます。山登りにたとえれば、山頂へとたどり着く道は、天候や自身の能力により無数に存在します。向かうべき方向を判断するために必要な情報、さらには自分自身の技術力や周りの支援状況などを踏まえ、次の一歩を "考えること”、そうして積み上げた道筋を自身の足で "歩くこと" が経験になります」と永井氏。
今回のプロジェクトを振り返り森高氏も、「大阪ガスリキッド様の案件は従来のアプリ開発のやり方ではない、クリエイティブな仕事でした。また API 連携をはじめ新しい要素にたくさん挑戦でき、やりがいも大きかったです」と、永井氏の思惑通りの手応えを掴んだようだ。
なぜ森高氏が入社 2 年で開発主担当を務めあげられたのか。その理由を永井氏に尋ねると、Juppo における FileMaker の使用法、そして新人のフォローの仕方を挙げた。
「Juppo では FileMaker 機能のセットやレイアウトテーマ、ログインの仕組みなどをセットにした、つまりモジュール化した Juppo 独自の標準パーツをすべてのシステムに装備し、高速開発を実現しています。モジュール化することで、システムを見た時にすぐにどのモジュールをどう使うのかがわかるのです。慣れていない人はシステムのどこをどう直すのかがわからない。そこをベテランが情報共有してサポートしています」(永井氏)
大きなプロジェクトを一緒に乗り越えたことで、森高氏は、永井氏に対する絶大的な信頼を寄せている。尊敬する上司と一緒に働くことに喜びを感じ、2019 年の FileMaker カンファレンスでの出会いを感謝しているという。
柔軟な働き方を提供することで生まれる新しい化学反応
東京での 2 年半の勤務の後、2023 年 3 月、森高氏は地元大分での在宅勤務を願い出た。Juppo の社長 寺戸氏の「じゃあ、在宅じゃなくて大分オフィスを開設しよう」の一声で大分オフィスの開設が決定。ちなみに、開設された Juppo 大分オフィスの事務所は、なんと森高氏が自分で見つけてきたものである。
大分オフィスに異動した森高氏に将来の目標について聞くと、「将来的には、Claris プラットフォームの知識をさらに深め、大分での新オフィスから地元企業を IT でサポートすることを目指しています。また、お客様の立場に立ったコンサルティングを行い、地域社会への貢献を目指していきたい。そのためにも、大分で FileMaker の勉強会やセミナーを開催していきたいです」と語ってくれた。
開発者でありながら新規顧客開拓を大分で自ら率先して行おうとする、新しい化学反応を生み出した Juppo の社員。今後の大分県での新しい展開が楽しみだ。